<東京五輪>都の負担増で合意…整備費分担見直し

 

◇国、組織委と会談

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長、遠藤利明五輪担当相、東京都の舛添要一知事は31日、会場整備の費用分担を見直すことで合意した。テロ対策や選手輸送、道路整備などの計画も見直す。具体的な内容は今後、組織委、政府、都の実務者レベルで協議して、今秋までに取りまとめる方針。招致段階の想定よりも都の費用負担は増え、税金が投入されることになる。【山本浩資、飯山太郎、浅妻博之】

 招致段階では大会後も継続して活用する恒久施設は都が、大会後に撤去する仮設7施設と既存施設を五輪仕様にする改修費(オーバーレイ)は組織委が、それぞれ整備する役割分担になっていた。

 三者は31日、都内で会談した。森会長は「立候補ファイル(招致時の開催計画)は無理がある。恒設は都、仮設は組織委員会という定義も分からない。役割分担を見直してほしい」と提案し、都に更なる負担を促した。

 舛添知事は「招致段階からさまざまな変化がある」と受け入れを表明した。その上で「(大会に向けて)バリアフリーにするのに(費用を出すのが)福祉の予算だからけしからんという言い方は生産的でない。へりくつを言っている場合ではない」と述べ、大会に向けた道路整備なども含めて政府や組織委と協議する意向を示した。

 遠藤五輪相も「実務者も含め連携を取っていきたい」と語った。

 大会の仮設施設では有明体操競技場(東京都江東区)について、都が大会後に展示場として約10年活用することで費用を一部負担することが決まっている。都は新年度予算に、中小企業振興の経費として約5億円を計上した。

 ◇当初の見込みずさん

 組織委は立候補ファイルの予算を精査し直し、今夏のリオデジャネイロ大会前後に国際オリンピック委員会(IOC)に報告したい意向だ。森会長は会談で、この時期を目指して費用分担の見直しをするよう提案した。

 組織委幹部によると、スポンサーの協賛やチケット販売などによる組織委の収入見込みは約5000億円。招致時に運営費を約3000億円と想定していたが、これを大幅に上回ることは確実だ。

 招致段階で組織委の負担は仮設7施設とオーバーレイに約723億円を見込んだ。しかし、費用が膨らむのは間違いなく、競技会場見直しで埼玉、千葉、神奈川、静岡4県の既存施設もオーバーレイが必要になった。組織委幹部は「追加種目が決まれば更に会場整備費は増える。オーバーレイも含め役割分担を精査したい」と話す。

 立候補ファイルは、組織委が資金不足に陥った場合、都や政府が補填(ほてん)すると記す。森会長は「全部赤字になったので、東京都、国にお願いしますというものではない」と話したが、当初の見込みがずさんだったのは確かだ。都は今後、仮設施設の有効利用を探りながら費用負担を検討するとみられる。

 

 

毎日新聞  2016.3.31